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読んでいない本について堂々と語る方法  はてなブックマーク - 読んでいない本について堂々と語る方法

読んでいない本について堂々と語る方法

「本は読んでいなくてもコメントできる。いや、むしろ読んでいないほうがいいくらいだ」

本『読んでいない本について堂々と語る方法 』はそのタイトル通り、未読本にコメントすることについて書いた本。

タイトルから「そんなバカな」「くだらない」と感じる方もいるでしょうが、本書を読んだ後も、同じ気持ちでいられるでしょうか?

私は妙に、納得してしまいました…。


今日は本書から、読んでいない本について堂々と語るための考え方を3つ、紹介します。





1. 書物において大事なのは、それについて語る瞬間

書物において大事なものは書物の外側にある。なぜならその大事なものとは書物について語る瞬間であって、書物はそのための口実ないし方便だからである。

P.194
本について語るのは楽しい。

私は日常的に、無意識に本について語っています。

このブログもそうです。「こんな面白い本があったよ」と、語りたくてたまらないのです。


生活のふとしたとき、今起こったことにつながる本が思い出されます。

たとえば先日。私の笑顔が胡散臭いという話になりました(笑)。

そこで思い出したのは、本『卒アル写真で将来はわかる 予知の心理学 』。

これはビックリ!研究結果から「人は見た目」だと分かる4つの話


この本では、卒業アルバムで「目までしっかり笑っている」人は寿命が長く、離婚率が低いというデータが紹介されています。

この「目まで」がポイントかなと。つまり私は笑っているつもりが目が笑っていないのかもしれない。

むかし女性から「笑わなければ目尻にシワがよらないし、カッコイイのに」なんて言われたことがあり、もしかしたらそれがいまの私に影響しているのかも?とまで話し(考え)ました。


本について話しつつ、いつのまにか自分の話をしていました。


2. 批評では自分自身について語る

オスカー・ワイルドと本書著者は、本と読者との距離についてこう語っています。

自分自身について語ること——これがワイルドが見るところの批評活動の究極のねらいである。批評を作品の影響から守り、このねらいから遠ざからないようにするため、全てはこの見地からなされねばならない。

P.210

作品と距離をとることは、したがって、ワイルドの読書と文学批判についての考察のライトモチーフである。彼のかの挑発的な言い回しはそこから来ている。 「私は批評しないといけない本は読まないことにしている。読んだら影響を受けてしまうからだ」(中略)
読書のパラドックスは、自分自身に至るためには書物を経由しなければならないが、書物はあくまで通過点でなければならないという点にある。良い読者が実践するのは、さまざまな書物を横断することなのである。

P.211
思い出したのは、お笑い芸人・ピース又吉さんのこの本。

彼の好きな太宰治、江戸川乱歩などの作品紹介を通して自身を綴るエッセイ集であり、まさに「自分自身」について語っているのです。

それは「本の内容の紹介」にとどまらず、まさに創作活動です。


3. 本を語ることで、みずから創作者になる

みずから創作者になること——本書で私が一連の例を引きながら確認してきたことが全体としてわれわれを導く先は、この企てにほかならない。(中略)
読んでいない本について語ることはまぎれもない創造の活動なのである。

P.217
本をブログで紹介するときに、

「とても共感します」
「そのとおりだと思います」

くらいしか自分の言葉を書いていなければ、それは「創作活動」とは言えません。


大人気ブログ「ライフハッカー[日本版]」に毎日書評を書くプロ書評家の印南氏は、本『伝わる文章を書く技術 』でこう語っています。

僕の書評は一般的な書評とは書き方が違います。新聞や雑誌に掲載される書評は、わりと主観的なものが多いですよね。でも、ライフハッカーの場合は手段が異 なると考えているんです。ライフハッカーのようなニュースメディアで自分を出し過ぎると、みっともないですからね。(中略)読者が欲しているのは情報で あって、僕の個性や主観ではないはずですからね。

P.164
人気サイト「ライフハッカー」に学ぶ!読んでもらえる書評を効率良く書く4つの考え方

これはつまり本そのものが主であり、自分自身を語らないということ。

極端を言えば、他の誰かが書いても良いということになってしまいます。


代わりの利かない自分であるためには、「創作者」でいないといけない。

本をあくまで「通過点」として使うことで、「本の内容を紹介する誰か」から「創作者」になれるのです。


まとめ

非常に面白い本です。タイトルから、読中もニヤニヤしたり、妙に納得させられたり。

本書では、「読んでいない」について、
  1. 全く読んでいない
  2. 流し読みだけ
  3. 人から聞いただけ
  4. 読んだが忘れた
の4つに分けています。

そして著者は本書で引用した本について、それぞれどの状態なのかを記号で明らかにし、実際に「読んでいない本について語る」を実践しています。


私はというと、このブログで本について語るときはたいてい「面白い本をオススメしたい」という気持ちです。

そのためには「本の内容」をある程度紹介する必要があります。

とはいえ、それだけでは書き手が「私」である必要がない。


いつも意識しているのは、本の「内容」と「私の体験」や「別の情報」をつなげること。

何とどうつなげるかを、私と全く同じように考える人はいないでしょう。

そこに「私」があらわれているはずです。




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