戦後最大の倒産でどん底のJALが、なぜ過去最高益をあげることができたのか 〜本『稲盛和夫 最後の闘い』  はてなブックマーク - 戦後最大の倒産でどん底のJALが、なぜ過去最高益をあげることができたのか 〜本『稲盛和夫 最後の闘い』

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齢80歳にならんとする稲盛が見せたすさまじい闘魂は、3万2000人のJAL社員を奮い立たせた。
「おそらく、命を縮められたことと思います」
稲盛の「最後の闘い」を間近で見てきた社長の植木はそう振り返る。
「JAL再生」は経営者・稲盛和夫から日本への遺言である。
(中略)
「よく見ておけ、これが経営だ」

P.23
稲盛和夫さんといえば、言わずと知れた日本有数の電子部品メーカー「京セラ」創業者。

さらにNTTに立ち向かい、第二電電(現KDDI)も立ち上げ、素晴らしい実績のある方です。


それがなぜ、誰もが無理だと言った、しかも大嫌いなJALの再生を決断したのか。

そして戦後最大の倒産からたった3年でなぜ奇跡のV字回復・過去最高益を出すことができたのか。


経営のドキュメンタリー本ですが、読んでいて涙が出ました。





JAL再生の本当の目的は「遺言」だった

稲盛はこれまでの記者会見やインタビューで、3つの大義を挙げている。
2万人近くの人員削減を実施した後に残った3万2000人の雇用を守ること。日本の航空業界の大手が全日本空輸(ANA)1社となり、健全な競争がない独占状態に陥ることを防ぐこと。JALの再生失敗が与える日本経済への悪影響を食い止めること、の3つである。
しかし、稲盛には心に秘めた、もっと大きな狙いがあった。稲盛がJAL再建を引き受けた本当の理由。それは日本という国に、経営者としてのラスト・メッセージ、つまりは遺言を遺すことだった。稲盛は言う。
「JAL という企業が腐っていることは、日本中の誰もが知っていました。再生は不可能だと思っていたでしょう。その『腐ったJAL』を立て直せば、苦境に陥ってい るすべての日本企業が『JALにできるのならば俺たちにもできるはず』と奮い立ってくれる。そこから日本を変えられる。そう思ったのです」

P.16
しかし稲盛氏の遺言は、「日本」に届かなかった。

あとになって、当時出資した京セラがインサイダー取引の疑いをかけられたり、国主導の手厚い支援はおかしい、という声も。

国益となる大きな結果をあげたにもかかわらず、目立つと叩かれる。なんだか悲しいですね。


当事者意識のない役員の反発

稲盛から見ると、JAL役員は総じて当事者意識が薄かった。

P.30
私たち日本国民からしたら腹の立つ話ですが、「国に支援してもらえて当たり前」という空気があったそうです。


そこで稲盛氏は徹底して、意識改革を試みました。

しかしかなり苦労したようです。

「あなたたちは一度、会社をつぶしたのです。本当ならいま頃、職業安定所に通っているはずです」
官僚的な思考が抜けないJALの役員に対して稲盛はあえて厳しい言葉を使った。
だが、この時点でもまだJALの役員には、「こんなこと(リーダー教育)をしている場合ではない」という空気があった。

P.38

「お先に失礼します」
「こっちに来て、もう少し飲まんか」という稲盛の誘いを断り、多くの役員がそそくさと帰路についた。残業を続ける部下のもとに駆けつける役員もいた。
「精神論につきあう暇はない」
そう言ってはばからない役員もいた。

P.40
稲盛氏の経営の核は、フィロソフィー。

なにか斬新な「手法」を使ったところで、「意識」「心」が変わらなければダメということでしょう。

「航空業界の素人で、全くの無知だった」という稲盛が、JALに乗り込むときに携えていったのは「フィロソフィと部門別採算制度のアメーバ経営の2つだけだった」。(中略)
稲盛の法話をきちんと咀嚼すれば、フィロソフィは「ミッション・ステートメント(企業の使命を分かりやすく示した標語)」であり、米国のGoogleやス ターバックス、アマゾン・ドット・コムといった新興企業も、それぞれのミッション・ステートメントを掲げて、求心力につなげている。

P.21
そのフィロソフィー、なんとついに一般向けに公開されました。



上から変える

稲盛がリーダー教育を強引に実施したこともあって、更生計画の提出は2ヶ月延びた。だが研修が終盤に差し掛かる頃には「ムダなことを」と言う役員はいなくなっていた。確固たる信念に裏打ちされた稲盛の言葉は、雨だれ石をうがつがごとく、JAL役員の心に染みていった。
100日余りの冷戦を経て、稲盛はJALのコックピットを掌握した。
「いったい、役員フロアで何が起きているんだ」
リーダー教育が始まってからしばらくすると、池田のように稲盛に感化されて帰ってくる役員が続出し、その変貌ぶりに驚いた社員たちはリーダー教育の中身に興味を持ち始めた。
「そんなにすごい研修なら、自分たちも受けてみたい」

P.47
上が変われば、下も影響されるわけですね。

それは稲盛氏も同じで、口だけでなくまず自分が「見せる」ことで幹部たちが変わっていきました。

「高齢の私は他の仕事もあって、毎日JALに来るわけにはまいりません。だから無給で働きます。週に3日ほどしか来られませんが、何としても今回の更生計画をやり遂げるつもりです」

P.52


全員に経営者マインドを持たせる

アメーバ経営を導入した病院では、スタッフが20人から30人の小集団に分かれ、それぞれの集団で収支を管理する。
自分のチームが赤字で、隣のチームが黒字だと「なんでウチは赤字なんだろう」とスタッフが考え始める。負け続ければ「何とかしなくては」と焦る。正しい情報を開示すれば、お尻を叩かなくても、スタッフが本能的に数字を追いかけ始める。
誰かが「こうしてみたらどうか」というアイデアを出し、それが赤字の縮小や黒字転換につながれば、チームの全員が達成感を味わう。それを見ていた隣のチームは、早速その手法を真似し、アイデアが病院全体に広がっていく。

P.148
個人ではなく、チームで競い合うというのが良いですね。

しかも「競わせる」ではなく「競い合う」です。

上からやらされているとか、上から評価されるためではないので、「良い方法を他には隠して自分のチームだけが勝とう」なんてことにはなりません。


まとめ

読んでて熱くなる本でした。ここでは語り尽くせないエピソードが満載です。


誰もが無理だと言ったJAL再生。わざわざそれをやれば稲盛氏の経歴を傷つけることになりかねない。

経営塾をされていますから、JAL再生に失敗したら、塾で教えたことはなんだったのかということにも。


しかし結果は逆。稲盛氏は評論家ではありませんでした。やって見せたのです。

自らの背中で経営を教え、奇跡の大成功を遂げたのです。


世間からの非難、社内の反発…、そして奇跡のV字回復。まるでドラマの世界ですね。

経営者でなくても読み物として非常に面白く、また学びのある本です。

ぜひ読んでみてください。


稲盛氏に学んだこの方も二度成功しています。ホンモノですね。

ブックオフを大成功させ、今度は飲食店「俺のイタリアン」「俺のフレンチ」をヒットさせた社長の4つの考え方 

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