目先の勝ちより成長!1563敗した野村克也 元監督に学ぶ『負けかたの極意 』

あのID野球で有名な野村監督は、なんと監督生活で1,563敗もしたそうです。
名将と言われていただけに、弱いチームを強くするために監督を任せされることが多かったせいもあるのですが、あえて「負けてもしかたない」とチャレンジする采配をすることもあったそうです。
結果を求められる厳しい勝負の世界にあって、目先の結果よりも人の成長を重視した野村監督の考え方が書かれているのが、『負けかたの極意 』。
今日は本書から、野村監督の負けかたの極意を5つ紹介します。
1. 「不思議の負け」なし
「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」
と、私はよくいう。
(中略)
完全に負け試合だとあきらめていたところに勝利が転がり込んでくることは、ままある。つまり、勝ちには「不思議な勝ち」が存在するのである。
しかし負けには「不思議な負け」はない。P.22
ミスをした選手に「気にするな」と言った人に、本気で怒ったこともあるそうです。だから、負けたときは不運だとか天命だとかいってあきらめたり、負け惜しみを口にしたり、言い訳をしたりするべきではない。負けには必ず原因があるのだから、嘆いたり、悲しんだり、なぐさめ合ったりしている暇があるのなら、敗因を徹底的に分析し、対策を練るべきなのだ。
P.23
プロなのだから、ミスした原因について真剣に考えるべきだ、と。
2. 敗者が勝者と同じことをしていては勝ち目はない
言われてみれば当たり前のことですが、しかしつい「勝者のマネ」をしようと思ってしまいませんか?敗者が勝者と同じことをしていては勝ち目はない。これは鉄則である。私は決意した。
「人の三倍、練習をしよう」
と同時に、少しでも監督やコーチの目にとまる確率が高くなるよう、戦略を練った。
当時の南海のレギュラーキャッチャーは、松井淳さんという人だった。松井さんはバッティングに難があった。そこで私は、まずはバッティングで注目を引こうと考えた。P.71
それも悪くありませんが、圧倒的な努力に加え、いかに「うまく」目的を達成するかを「考える」ところに、野村監督らしさがあります。
そういう話が本書にはいくつも出てきます。
3. あえて失敗させて気づかせる
ヤクルトの監督だった頃に入団してきた高津臣吾投手は、野村監督からすると「並以下」。それならばと新しい球種シンカーを新たにマスターさせるも、本人はストレートに未練がある様子。
そこで野村監督は、当時デビュー二試合目の松井秀喜さんと高津投手の対決場面、あえてストレートで勝負させます。
他人から言われるより、失敗を経験したほうが身にしみて理解できますね。「内角のストレートで勝負してみろ」
私はキャッチャーの古田敦也を通じて、高津に指示を出した。
これには松井の実力をチェックする目的もあったが、それ以上に「おまえの真っ直ぐがどれだけ通用するか、松井を相手に試してみろ」という意図が大きかった。
果たして松井は、高津が投じたインコースのストレートを火の出るようなライナーでライトスタンドに運んだ。これが松井のプロ初本塁打だったわけだが、高津にとっては、ほんとうの意味でのプロの厳しさ、レベルを思い知らされる出来事となったはずだ。P.126
監督も当然、その場の失敗を受け入れる覚悟が必要なわけですが、その後高津投手は大活躍、メジャーリーガーにもなったわけですから、長い目で見ればプラスに働いたというエピソードです。
4. 反省は5W1H + Why not?で
実はあのカリスマ予備校講師・林修先生も、似たことを言っています。ラドヤード・キップリングというイギリスの詩人がこう書いているのだという。
「私は、六人の正直な召し使いを持っている。彼らはいつも、私の知りたいと思っていることを教えてくれる。彼らの名は『何を』『なぜ』『いつ』『どうやって』『どこで』そして『誰が』である。」
負けや失敗から学ぶにも、この「六人の召し使い」が欠かせない。たとえば、三振したとする。「いつ、どのような状況において」「どこで」「誰の」「どんなボールを」「どんなふうにして」「なぜ三振したのか」を明確にしておかなければ、反省のしようがない。
ただし、それだけでは不足である。もうひとつ、「WHY NOT?」、すなわち「どうしてできなかったのか」を考えなければならない。P.140
失敗したり、問題があるとき、「反省してます」「問題ですね」とか言いながら、何から手を付けて良いかわからない、なんてことがありませんか?
そんなとき、5W1Hを反省してみる。
さらに、「どうしてできなかったのか」を真剣に考えると、負けを活かすことができそうです。
5. つねに問題意識を持て
問題意識というのは「器」みたいなもの。「つねに問題意識を持て」
これも私が選手に言い続けてきたことである。というのも、問題意識を持つことは、感じる力を磨くために必要なことであり、当然、失敗や負けを活かすためにも欠かせないからだ。
(中略)
ただいわれたことをやっているだけ、指示を待っているだけでは、それ以上の成長も進歩もない。
(中略)
みずからが問題意識を持ち、何がいけなかったのか考え、改善するための課題を掲げ、能動的に取り組まなければ、失敗を次に活かすことは不可能といってもいい。P.159
それがなければ何も入ってこず、どんどんこぼれていきます。
問題意識という「器」を準備して初めて、学びや成長がたまっていくわけです。
まとめ
さすがID野球を提唱した野村監督、「こんな風に考えて野球をしていたのか!」と驚かされます。また現役時や監督時のエピソードも豊富、王貞治さんや長嶋茂雄さん、落合博満さんらをバサバサ斬っていて痛快です(笑)。
「失敗を活かせ」「反省しろ」などとはよく聞きますが、いかに負けるか、いかに失敗を活かすか、負けている人はどう考えるべきかなど教えてくれる本書はとても貴重です。
ぜひ読んでみてください。
ところで、似たテーマで元ハードル選手の為末大さんが本を書かれていますが、全然内容が違うので、読み比べると面白いかもしれません。
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