現役最年長を更新し続ける中日ドラゴンズ山本昌・山崎武司の秘密 〜本『進化 』

中日ドラゴンズの、このお二人。
山崎選手はプロ27年目の44歳、山本昌投手はプロ30年目(!)の47歳。
現役最年長を更新し続ける、同じチームのお二人ですが、性格も考えも、たどってきた道のりもかなり違います。
2013/4/4発売の本『進化 』にはそれが書かれており、とても興味深い内容です。
今日は本書から、お二人の考え方について紹介します。
「技」に磨きをかける
練習方法や技術について、お二人の考えは対照的です。山本昌投手「新しい方法はとりあえず試してみる」
山崎選手 「自分になじんだ方法を安易に変えることはない」P.50
山本昌投手は、
とし、サイドスローに変えろと言われても拒否したそうです。オーバースローには強いこだわりがある
P.52
そうした「軸」は持ちつつ、新しいことも試してみるのだとか。
毎年シーズンオフになると小山先生の下へ赴き、フォームの微調整を繰り返すようになった。
(中略)
小山先生の数々の理論には感嘆させられるし、今でも「目からウロコ」の話がたくさんある。だが、1度試して「自分には合わない」と感じれば、「先生、これはちょっと僕には無理です」と実行しないことだって多々ある。P.53
一方、山崎選手は自分のスタイル・感覚を大切にしているそうです。
自己分析しながらそのとき自分に必要なことは変えてきたそうですが、何にでも飛びつくわけではない、ということですね。自分には自分のやり方があるし、知らないもの、興味がわかないものに挑むことにはためらいがある。
(中略)
多くの野球選手がしているウエイトトレーニングも、僕はしたことがないし、野球の道具にしても、自分が信じてきたもの以外は積極的に受け入れることがほとんどない。
曖昧な表現で申し訳ないが、僕はこれまで「感覚」を大事に練習してきた。
(中略)
自分はどうなりたくて、そのためには今何が必要なのか?それが明確であれば、トレーニング方法に躍らされることなくスタイルを確立できると、僕は思っている。P.55
あなたは、どちらのタイプですか?
後輩にどんなアドバイスをするか
これもかなり対照的。山本昌投手「アドバイスは求められない限りしない。その立場ではない」
山崎選手 「自分が伝えられることは誰に対しても伝えていく」P.146
山本昌投手は、コーチではない自分には、もしものときに責任が持てないから、積極的には教えないと言います。
もし、自分のアドバイスでその選手がピッチングフォームを崩してしまったらどうなるか?ひとりの選手の人生を台無しにしたところで、同じ選手の立場である僕には責任をとることができないのだ。
だが、聞かれたことに対してはしっかりと答えているつもりだ。P.148
いっぽう山崎選手は高卒ルーキー時代、スーパースター落合博満さんから指導してもらえず成長できなかったことがあったからか、積極的にチームのためになんでも教えると言います。
その傾向が最も強かったのは、楽天に在籍していた期間だった。
(中略)
挨拶の仕方から練習に臨む姿勢、当然、技術的なことだってなんでも伝えた。
(中略)
全ては、「弱小」と揶揄されている楽天を常勝軍団にするためにしてきたこと。P.151
「学習」というと「教えてもらう」というイメージがあるかもしれません。
私たちは学生時代、「教えてもらう」のが当たり前でした。
ただ実際には、受動的に「教えてもらう」より、能動的に「学ぶ」ことをしなければ、得られるものは少ないでしょう。
しかしそうは言っても「見て学ぶ」には限界があるし、「教えてもらう」のは効率が良い場合もあります。
このあたりは、バランスでしょうか。
中日ドラゴンズへの感謝
山本昌投手はプロ1年目からずっと中日ドラゴンズ。一方、山崎選手は中日→オリックス→楽天→中日と、2度の戦力外通告・トレードを経ています。
こうした経歴もかなり違うお二人ですが、共通するのは「中日ドラゴンズ球団への感謝」。
山本昌投手は、「中日でなければ30年も続けられなかった」と言います。
中日ドラゴンズという球団に入ってよかったと思っているし、中日以外の球団ならとうの昔に野球をやめていただろう。
(中略)
(プロ通算200勝達成の)前年の成績は2勝10敗と、先発ローテーション投手としては自己最低の結果。ところが、球団は「来年こそ200勝」といったように後押ししてくれた。
記録を達成すると、「今度は球団記録まで頑張れよ」と次の目標を提示してくれた。P.166
一方、山崎選手はこう言います。
2011年10月9日。楽天を自由契約となった僕はそのように現役続行への意欲を示した。とはいえ、この時42歳。主に成績不振が理由でクビになった選手をひろってくれる球団など皆無に等しい。僕は、シーズンの全日程が終了して間もなくの11月末、一縷の望みを託して古巣・中日へ売り込んだ。
「よし、帰ってこい!その代わり給料は安いぞ」
ほぼ即答に近い形で契約してもらうことができた。
(中略)
02年、当時の監督との問題ではあったが、言うなれば球団にたてつき、自らの意志で「トレードに出してください」とチームを去った。そんな男に球団は「お前は特別だ」と言ってくれたのだ。
(中略)
まだ暴れるチャンスをいただいた。今度こそ、僕は中日ドラゴンズのために明確な結果を残さなければならない。この愛情あふれるチームへの恩返しを果たすことこそ、自分がプロ野球選手としての最後の役目だと思っている。P.168
ふと思うのは、「会社員」である人が、自分の会社に尊敬や感謝をどれだけ抱いているのかということ。
どちらかというと、居酒屋で会社の悪口を言っているのがよく聞こえてくる気がします。
これは社員側の問題もありますが、会社側も「尊敬される・誇りに思ってもらえる企業」をつくるべきでしょう。
スターバックスの従業員などは、そこで働くことにとても誇りを持っているように見えます。
まとめ

同じように長いあいだ現役選手生活を送るお二人ですが、こうも考え方が違うのはとても興味深いです。
それこそ以下の記事で書いたように「答えは1つではない」ということ。
本書『進化 』と読むとそれがよく分かりました。
他にも、過去の監督との確執や、話題の大物ルーキー・日本ハムファイターズの大谷選手の二刀流についてなど、正直「こんなこと言っちゃっていいの?」ということまで書かれており、読んでいるこっちがヒヤヒヤしてしまいます(主に、山崎選手、笑)。
今年46歳を迎えたJリーグのキング・カズも、試合で点を取るたびに「Jリーグ史上最年長ゴール」などといちいちインタビューされているのを見ます。
あの元イングランド代表ベッカムですら先日5/16、38歳で引退を表明したのですから、ドラゴンズのお二人や、キング・カズがいかにすごいかがわかりますが、カズもまた「進化」しようとしているように見えます。
最近ではフットサルにもチャレンジしたり、肉体もまだまだ進化しているようですね。
以下の記事に「年齢を言い訳にしない」と書きましたが、本当にそう思います。
私は「もう歳だから」「年齢的に体が」などとは絶対言わないことにしています(言わないというだけですが)。
最後に、あやまらなければならないことがあります。
私は愛知県に住んでいながら、ジャイアンツファンです(笑)。
ジャイアン(山崎選手の愛称)、許して。
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今日のひとこと
もう38か。次は俳優かな? / 元イングランド代表ベッカムが引退を表明 - Goal.com bit.ly/10SqpCp
— コウスケ@Ko's Styleさん (@kosstyle) 2013年5月16日
- [2013/05/17 06:00]
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