大人気コラムニスト小田嶋隆さんの本『場末の文体論』から無理やり学んだ5つのブログ術

本『場末の文体論 』。
著者の小田嶋隆さんは人気コラムニスト。そしてこのタイトル。
これはブログに活かせる文章術が学べるかもしれない。
そう思って読み始めたのですが…、「術」がない!書かれていないのです!(笑)
職人は師匠のワザを「見て盗む」と言います。
そうか。そういうことなんですよね?
今日は、本書を読んで私が盗みとった文章術から、ブログに活かす方法を紹介します。
1. 「共通のテーマ」×「自分の過去」
本書で小田嶋さんは、まず何か皆がよく知るような、ニュース性のあるテーマを取り上げます。立川談志さんの死、ソニーの従業員1万人削減計画、などなど。
これはそもそも、本書がWebマガジンでの毎週更新のコラムをまとめたものだからなのですが。
週刊というタイミングで、この長さ(毎回、5000〜6000字)のコラムを執筆するのは、私のような専門分野を持たない書き手にとって、かなり荷の重い仕事だ。
それゆえ、どうしても、原稿のテーマは、「今週の出来事」という感じの、そのとき時の話題が中心になる。その方が読者の関心に叶っているという事情もあるし、原稿を書く側にとっても、題材を選ぶ苦労が少ないからだ。P.1
しかし面白いのは、本書のコラムにあるのはそのテーマへの言及と言うよりも、ご本人の過去なのです。
何回かに一度、自分でも意識していない奇妙に懐古的な文章が出現する。
看板としてあげた話題は、その週の新聞見出しと同じものでも、その出来事を語る時制が、現在形でなくて、過去形になっているのだ。P.2
頻繁に更新するブログであれば、こういう手法、使えますね。
ニュースを見ればネタは無限にありますし、難しいことを語れなくても、そのテーマから自分の話にしてしまえば良いのです。
以下の記事は、車椅子の乙武洋匡さんが飲食店に入店拒否された問題から思い出した、自分の話を書きました。
ところで、以下の記事では、
と紹介しました。「最強のソーシャルメディア文章=共通話題+オリジナリティ」
「オリジナリティ」の部分が、本人の過去なわけですね。
個人の過去の体験・思考は、ぜったいにオリジナルです。
2. ダジャレなタイトル
ブログにおいてタイトルは非常に重要です。ブログ読者は、RSSリーダーやSNSで記事タイトルを見て、その先を読み進めるか決めるわけですから。
そうなると、一番考えやすいのは「その記事を読むメリットを、タイトルで伝えること」。
たとえば以下の記事のタイトルが「さいきん中温反復浴してます」とかだったら、どんなに記事に価値があっても多くの人に読んでもらえないし、
しかし、小田嶋さんのWebのコラムの読者は彼のファンが多く、また「メリット」を求めているわけではないでしょうから、ちょっと勝手が違います。
本書の目次を見ると、各コラムのタイトルにはダジャレが多いことに気づきます。
第6章 ワイルドでは生きていけない。マイルドでは生きていく資格がない。
第9章 イタリヤのリタイヤと維新の真意
第10章 朝日の落日
第12章 そうせんきゃならぬがゆえの総選挙
タイトルを見て思わず「ぷっ(笑)」となってしまったり、「うまい!」と思ってしまうものなら、やはり先を読んでもらえそうですね。
3. 短く、興味をひく書き出し
ブログにおいて、タイトルの次に書き出しが重要です。やはりそこで興味を持ってもらえなければ、先を読んでもらえない可能性が高いからです。
では、本書での小田嶋さんのコラムの書き出しはどうか。
13章すべての書き出しを以下にリストしてみます。
北杜夫さんが亡くなった。
P.8
立川談志さんが亡くなった。
P.20
ソニーが国内外で従業員1万人を削減する計画を発表したのだそうだ
P.36
アグネス・ラムの写真集が売り出されるのだそうだ。
P.50
来年4月の開学を目指していた秋田公立美術大学(秋田市)など3大学について、田中真紀子文部科学大臣が新設を不認可とした問題は、事件勃発から4日を経て、一転、既定の方針通り認可することで落着しようとしている。P.64
「マイルドセブン」が名称変更に踏み切るのだそうだ。
P.80
今月末に官邸前のデモを見に行くつもりでいるのだが、その前に感想を述べておきたい。
P.98
金環日食の日が近づいている。
P.114
大阪市長選が告示された11月13日の午後、私は大阪駅に降り立っていた。
P.126
橋下徹大阪市長に関する特集記事が掲載された週刊朝日(10月26日号)を、私は、発売日の昼過ぎに入手した。
P.140
選挙が近づくと気分が塞ぐ。
P.154
選挙の翌日、開票結果の全容が明らかになった時点で、私は以下のような感想をツイッターに書き込んだ。
P.168
体罰の話はあんまりしたくない。
P.182
ここから分かるのは、
- 短い (から読みやすい)
- 「そうそう」と思わせる (共感して先を読み進めたくなる)
- 「え?どういうこと?」と思わせる (詳しく知りたくなる)
いずれにしても、読みやすく、さらに先を読みたくなる書き出しが多いですね。
以下の本にも、「書き出しは軽やかに」とありました。
4. 締めに必要なのは余韻を残すこと
文章において「締め」も重要。その読後感、余韻によって記事の印象が決まることも多いでしょう。
小田嶋さんの本書コラムでの締めの特徴は、
- (1) もう1ネタ入れる
- (2) 倒置法で余韻を残す
- (3) ツッコミを入れる
(1) もう1ネタ入れる
締めというと「まとめ」のイメージが強いですが、その要素を入れつつも新しい1ネタを入れています。
ソニーについてのコラムの終わりにも、残り8行のところへ
とあらたに1ネタ入れています。ソニーといえば、ずっと昔、トリニトロンカラーテレビのCMで…
P.47
(2) 倒置法で余韻を残す
たとえば、あるコラムの最後はこんな感じ。
「フィルムのカメラで、記念にツーショットを撮ってもらおう。」記念にツーショットを撮ってもらおう。もちろんフィルムのカメラで。
P.61
とはずいぶん印象が変わりますね。
これは実際のコラムを読めば分かるのですが、「フィルムのカメラ」を強調する意図(オチ)があるのです。
(3) 読者のツッコミを代弁する
最後に読者の疑問に答えています。就活はどうするのか、って?
大学で学んだことが職業に結びつかないような生き方こそが、豊かな人生だよ。P.78
いずれにしても、「起承転結」のように最後に「結論」を書くのは違います。
ブログもやはり、締めに必要なのは「結論」より「余韻を残す」ことです。
「行動したい!」「もっと考えてみよう!」「これについて言及したい!」と思ってもらえることが大切なのです。
5. 個性は「出す」のではなく「出る」もの
ブログを書いていて一番気になるのは、「個性」を出すことかもしれません。それで毎回名乗ってから記事を書く人や、決め台詞がある人もいますね。
小田嶋さんのコラムを読んでいると、すぐ分かるのは以下の特徴。
- (1) やたら言い訳する
- (2) 話すように書く
(1) は普通はうっとおしく感じられるものですが(笑)、小田嶋さんの場合はそれで人間味が出てユーモアとなり、個性になっています。
けっきょく堅くならずに素の自分を出せばよいのかな、という気がします。
まとめ

本『場末の文体論 』を読み、なんとか小田嶋さんのコラムの書き方を一般化し、ブログに活かせないかと考えてみました。
今週は、勝手に「ブログ術特集」として、ブログノウハウの特集をしています。

昨日の記事はこちら。
念のため言っておきますが、本書の魅力はコラムの内容。
ここに書いたような「ノウハウ」的なことは一切書かれていません。
小手先のノウハウが問題ではないというのは分かってはいますが、それでもこのような視点で本書を読んでみると、学ぶことは多くありましたよ。
とはいえ本当をいうと、一番学びたいのは「書き方」ではなくその「思考」ですね。
実はこの記事、もっと小田嶋さんのコラムの魅力が知りたくて書きました。
と、ぜひ教えていただきたいのです。「おまえは全然わかってないな。あのな、小田嶋さんのコラムの魅力というのは…」
私の「見て盗む」は、これが限界。誰か助けて。
またこのブログを見ても良いと思いますか?
次はどのレビューを読みますか?



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今日のひとこと
サスペンスよりロマンス@東尋坊。 instagram.com/p/YpTmxgyy0Y/
— コウスケ@Ko's Styleさん (@kosstyle) 2013年4月28日
- [2013/06/04 21:00]
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