タモリをも動かす!「ブラタモリ」プロデューサーの7つの企画術 〜本『時代をつかむ!ブラブラ仕事術 』

これは、マンガ家の赤塚不二夫さんの葬儀での、タモリさんによる弔辞。赤塚先生、本当にお世話になりました。ありがとうございました。
私もあなたの数多くの作品の一つです。
赤塚さんは上京してまもないタモリさんの才能を見抜き、TVに売り込んだほか、住んでいた目白の高級マンションに住まわせたそうです。
またタモリさんがブレイク後、赤塚さんの仕事がなく苦しい時期には「自分の会社の顧問になってくれ」と毎月給料を振込み、赤塚さんのプライドを傷つけないように支援したといいます。
お二人の関係、とても素敵ですよね。
NHKで放送されていた人気番組「ブラタモリ」を企画・制作したプロデューサーが書いた本が、2013/4/19発売した『時代をつかむ!ブラブラ仕事術 』。
今日は本書から、「ブラタモリ」プロデューサーの7つの企画術を紹介します。
1. アイデアは考えない
つまり、アイデアは日常的にためているものを組み合わせるものだ、ということですね。ぼく自身は、「企画を考えよう」と思って、ゼロから企画を考え始めたことはありません。
(中略)
実は、企画を考え始めた時には、すで頭の中にいくつかのアイデアがたまっている状態なのです。
たまっているアイデアは、普段の生活の中で思いついたり気づいたりしたものです。しかもそれらは番組のために考えたというより、日常の中の疑問であったり、 発見であったりするので、そのネタを探して日常を過ごしているわけでもありません。何かの企画を考える段階になって、それらのストックを組み合わせながら考えていく、という感じです。P.34
では、普段どんなことに意識したら良いでしょうか。
2. センサー全開で過ごす
自然以外でも、いつもの通勤ルート・よく行くお店の変化に気づいているでしょうか。「よくそんなことに気づきますね」というようなことを言われることがあります。
これはおそらくぼくが「何を面白いと思うか」のセンサーを、常に全開にしているからだと思います。いろいろなことを面白いと感じたら日常も楽しいですよね。
(中略)
これにはぼくなりのちょっとしたトレーニングがあります。
それは、「面白い」を探すのではなく、何かに「気づく」機会を増やすということです。一番のオススメは、日々の自然の変化に気づくことです。P.40
気づいたとしても、流してしまっていませんか。
そこからあれこれ考えてみることが、良いトレーニングになりそうです。
3. 一次情報を拾う
ネットで見たニュースや情報はあくまでも二次情報。「気づき」はいわば自分で取材して手にした一次情報です。
新しい企画を作るためには、この一次情報が大切なのです。
一次情報を元にしたもののほうが新鮮で、多くの人を引きつけられるからです。P.44
先日、こんなツイートをしました。
誰か、冷凍保存してビフォーアフターの食べ比べ記事書いてねw / 【衝撃】今日は今までのモスバーガーの味を楽しめる最後の日! 明日から味が変わるぞ急げ! | ロケットニュース24 bit.ly/11wLJKp
— コウスケ@Ko's Styleさん (@kosstyle) 2013年4月22日
ところが。
実際に新旧比較を記事にした方がいました。
ハンバーガーが新しい味になるという情報を得て、ただ考えただけの私。
一方、実際にお店へ足を運び、新旧比較した人。
得られた情報も、「面白さ」も、まったく違うでしょうね。
ネットや本を読めば、「知った気」になることが多くあります。
しかし、実際に行く・やってみる価値を、もっと私たちは知ったほうが良さそうです。
4. 「目線」を変える
企画の元にアイデアがあるとしたら、アイデアのきっかけは「気づく」ことだと思います。そして、「気づく」ためのコツが「目線」を変えることなのです。
アイデアをたくさん出すことができる人は、この「目線を変える」習慣が身についているのです。P.49
「目線」を変えるのに一番カンタンな方法は、他人になりきることではないでしょうか。目線を変えることによる「発見」の楽しさを知ると、日常のすべてのことに面白さを見出すことができるはず
P.55
たとえばお店へ行ったら、店員さん・店長さんの立場で考えてみる、なんてことをよくやります。
すると、商品陳列や値札の書き方など、いろいろ気づくことがありますね。
5. 「疑問」からスタートする
ただ売れているからという理由で本を買ってみても、結局「積ん読」状態になること、ありませんか?お勉強的な知識とは違って、疑問から出発して連鎖的に知っていく知識というのは、身体に染み込んでいきます。
そこには、「発見」があるからだと思います。P.54
一方、「疑問」ありきでそれを解決するために買った本は、すぐに読むでしょう。そして、得た知識が役に立ちます。
逆にいえば本の作り手は、「読み手」に疑問を持ってもらうようなタイトルにしていることが多いですよね。
「◯◯のつくりかた」
「なぜ◯◯は××なのか」
などなど。つい気になってしまいます。
本以外でも、「なぜだろう?」と疑問を持つと、そこから考えてみたり、調べてみたり、知識が深まりますね。
「スタバでかかっているアノ曲は誰の何ていう曲だろう?」という疑問から、せっせと曲を調べ続けた結果がこれです。
さらにここから、そのアーティストの他の曲を聴いてみたりして、知識が増えていきますね。
疑問を持たない人には考えられない記事(企画)であり、無駄な労力かもしれませんが、疑問があればそれを探求するのは苦痛ではありません。
6. 答えをすぐに教えない
部下や子どもにすぐに答えを与えてしまうと、「考える力」を失ってしまうかもしれません。通常の番組であれば、ここまでギモンを提示したら、すぐにナレーションが入り、「実はこの場所は……!」と解説のVTRに移るところでしょう。
(中略)
ぼくは疑問が出てきてから、答えにたどりつくまでのプロセスをじっくり描くことで、観ている人にも一緒に「なんでだろう?」と考えてほしいと思っていました。P.62
マイケル・サンデル先生は、答えを与えるのではなく、考えさせるプロですね。
すぐに答えが手に入れられるのはラクですが、「考えるというプロセスの楽しみ」を知ることも重要ですね。
「プロセスを楽しむ」といえば、旅行の楽しみを「目的地」だけと考える人と、その企画から当日の道中も含めて楽しいと感じる人がいますね。
私はどこへ行くか考えたり、目的地へのドライブも楽しみなのですが、助手席で寝られてしまうことも頻繁にありました(笑)。
自分だけでなく「プロセスを楽しんでもらう」工夫が必要だったかもしれません。
7. 「なんだか意見したくなる」賛否両論にチャンスあり
ツイッターやフェイスブックなどがこれだけ流行る今日、「なんだか意見したくなる」ものは広まりますね。「すごく面白かった、また観たい」という意見が多かった一方で、「面白くない、観たくない」という声も少なからずありました。
(中略)
可もなく不可もなく、ではなく、好きな人も嫌いな人もいるくらい「クセ」があることは悪いことではありません。優等生的なデータが集まるより、少し偏っている方が面白いのです。
(中略)
最初からみんなが「文句ない」というものだけでなく、「なんだか意見をしたくなる」部分があるものも、それが話題になって、のちに大きなヒットにつながる要素になります。P.133
みんなに愛されようとした無難な企画はつまらないのです。
ブログ記事やお店・サービスなどもそう。
あえて「意見したくなる」余白をつくるのもヒット企画をつくるセンスかもしれません。
まとめ

「ブラタモリ」という番組タイトルを考え、タモリさんの出演を実現させ、一見ほかにもありそうな企画を大ヒットさせた仕事術は、とても勉強になります。
…っと言いたいところですが、本書『時代をつかむ!ブラブラ仕事術 』はそれと同じくらい「ブラタモリ」の企画・制作のエピソードが面白いです(笑)。
それを目的で読んでも良いでしょう。
ところで、先のタモリさんによる赤塚さんへの弔辞。
8分近い内容を、手に持った紙を見ながら読み上げたタモリさんですが、実はそれは白紙だった、という話がありますね。
そんな経緯もあってか、本書も途中が白紙だらけで驚きました。
…冗談ですよ。
またこのブログを見ても良いと思いますか?
次はどのレビューを読みますか?




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今日のひとこと
図書館で本を借りたときに「ありがとうございました」と言われると、何だか違和感を感じる。
— コウスケ@Ko's Styleさん (@kosstyle) 2013年4月25日
- [2013/04/25 21:46]
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