リーダーシップを学ばなきゃ!というあなたは間違ってる!?本『ハーバード大学特別講義 リーダーシップが滅ぶ時代 』

本『ハーバード大学特別講義 リーダーシップが滅ぶ時代 』。なかなか刺激的なタイトルと表紙です。
一方で、2012年の話題の本『採用基準 』には、リーダーシップの重要性が書かれていました。
あなたはどう考えますか?
今日はこの『リーダーシップが滅ぶ時代 』から、リーダーシップについて考えてみましょう。
リーダーとフォロワーの関係が均衡してきた
リーダーシップとフォロワーシップの関係は徐々に進化し、以前とはまったく違った形になってきている。今や多くの国で、独裁主義に対向するものとしての民主主義が採用されている。(中略)
権力と影響力はまだ上層の者から下層の者へと行使されているが、上層の者の力と影響力が弱体化し、中間層と最下層が力をつけつつある。(中略)
団体や組織においては、各層はより対等な立場で相対している。P.14
日本柔道女子の選手たちが監督のパワハラを訴えた件など、以前では考えられなかったことでしょう。夫と妻の関係と、リーダーとフォロワーの関係には、一つの顕著な類似点がある。二者間の支配や違いのタイプが、たった百年前とは根本的に違ってきているということだ。(中略)
男女間ではつい最近まで夫が支配するのが普通で、またそうすべきであるという前提があり、妻は尊敬をもって従うべしとされた。だが歴史家ステファニー・クー ンツが指摘するように、現在の結婚は前とは違ってきている。(中略)
リーダーとフォロワーとの関係も同様に、リーダーが支配し、フォロワーが尊敬をもって従うのが、つい最近までは当然とされていた。リーダーはフォロワーにどうすべきかを指示し、フォロワーは信頼をもってそれに従うのが一般的であった。だが、もはやそうではなくなった。現代の妻がそうであるように、フォロワーは、かつてないほどたくましく、強く、自立している。P.11
あきらかにパワーシフトが起きています。
監督や協会は、それを理解していなかったのです。
サッカー女子なでしこジャパンの佐々木監督が、なでしこたちに権力を行使しているようには見えません。
ワールドカップ優勝の結果を残したことと、まったく関係がないとは思えませんね。
なぜリーダーは弱く、フォロワーは強くなったか
リーダーとフォロワーの関係の均衡について、文化や技術の変化が原因としてあると著者は言います。文化については、権威に対する敬意が薄れたと指摘しています。
たとえば、今では医者や教師を尊敬する、ということはほとんどないのではないでしょうか。
医者よりGoogleの検索結果を信用してしまう「Google 症」なんていうことも話題になりました。
技術の問題もあります。
たとえばウィキリークスがネットに配信した大量のドキュメントにより、国や大企業の秘密が暴露され、リーダーの無能さが露呈したり、立場が脅かされました。
また、アラブ世界において発生した大規模反政府デモであるアラブの春では、ツイッターやフェイスブックの役割が大きかったと言われています。
日本でも企業や政治家がツイッター・フェイスブックを無視できない状況がありますね。
リーダーシップは不要か
リーダーとフォロワーの関係が対等なら、リーダーにこだわる必要はないのでは?と著者は言います。しかし、リーダーシップがムダだというわけではありません。
著者は、これまでのリーダーシップは古く、またフォロワーシップも重要だと言いたいのです。
フォロワーは重要だ。いつも重要だったし、今だからこそこれまで以上に重要だ。フォロワーシップをリーダーシップのカリキュラムから除外するとしたら、理論的にも弁解の余地はないし、事実上無責任である。いかに指導するかを学ぶことを奨励すると同じように、いかに人に従うかを学ぶべきだ。いかにリーダーとかかわっていくか、協力、妥協するか、よいリーダーをどのように助け、支えていくか、また悪いリーダーには挑戦する、あるいは戦うか、いかにリーダーに対して意見を言うか、そのようなことを学ぶべきだ。
P.299
まとめ

ではどのようなリーダーシップが良いのか。
個人的には、本書では軽くしか触れられていない「サーバント・リーダーシップ」が良いのではと考えます。
リーダーが主役・トップダウンではなく、部下が能力を発揮する環境を整えるような、リーダーシップです。
なでしこジャパンの佐々木監督はまさにそれです。
しかし、どこでも誰でもこれが良いとは思いません。
大きな問題を抱える組織などでは、カンフル剤として独裁的リーダーが良い場合もありそうです。
いずれにしても、変化に敏感で、フォロワーとの関係を無視しないことが大切ではないでしょうか。
本『ハーバード大学特別講義 リーダーシップが滅ぶ時代 』には、リーダーシップビジネスの問題点や、リーダーの失態の数々などが書かれており、読み応えがあります。
本書を読むうちに、自分自身や自分の関わる組織について、自然と考えることになるでしょう。
自分がリーダーになったとき、フォロワー時代にリーダーがしていたことそのままでは通用しないかもしれません。
リーダーシップの本に書かれていることが、そのまま使えるとも限りません。
そういえば、本『世界の経営学者はいま何を考えているのか――知られざるビジネスの知のフロンティア』には、アメリカの経営学者は誰もドラッカーの本を読まないし、ポーターの戦略だけではもう通用しない、と書かれています。
リーダーシップについても不変のものと思われがちですが、状況が変わればリーダーシップも変わって当然と思えます。
あなたは、時代や状況にあったリーダーシップを理解できていますか?
<あなたはどう思いますか?>
次はどのレビューを読みますか?




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今日のひとこと
バッグはもうしばらく買わないぞ。- [2013/03/14 06:30]
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