秋元康はなぜ次々ヒットを生み出せるのか 〜本『AKB48の戦略! 秋元康の仕事術』

作詞した曲は4,000曲以上。そのうち1位になったのが80曲というのは歴代1位。合計4,500万枚売り上げたのは歴代3位。
さらには、映画、TV番組、小説など、様々な方面で大活躍されている、秋元康さん。
これだけの結果を出している、その仕事術を盗みたいと思いませんか?
AKBが特別大好きというわけではなくても、気になってしまう、あるいは秋元康さんに興味がある、という方は多いのではないでしょうか。
今日は、本『AKB48の戦略! 秋元康の仕事術 (田原総一朗責任編集) 』から、秋元康さんがなぜ次々ヒットを生み出せるのか、その7つの考え方について紹介します。
1. 企画の原点は「根拠のない自信」
そうは言われても、どうしても根拠を求めたくなるし、人を説得するには根拠も必要になってきますね(笑)。企画の原点は、やっぱり「根拠のない自信」だと思うんです。根拠を求めようとするから、みんな同じところへ行ってしまう。みんなが同じ本命だけを追いかけてしまう。
P.30
ただ、自信というのは本当に大事なものですね。
ときどき街で、「それはないだろ」という不思議なファッションの人を見かけます(笑)。
しかしその人がその格好で堂々と、自信満々でいるのを見ると、「あれ?私のセンスのほうがおかしいのか?」と思えてきます(笑)。
自信が説得力を生む、そういうことがありそうです。
脳科学者の茂木健一郎さんはよく
と言います。「根拠のない自信を持て。そしてそれを裏付ける努力をしろ」
「根拠のない自信」を持って、突き進んでいきたいものですね。
2. 量を出してから、質を求める
信じられない量ですね。通常シングルの場合、だいたい400〜500曲くらいかな。デモが20曲くらい入っているCDを20〜25枚ほど、僕が一人で聴きます。AKBの曲を書きたいといういろんな作曲家の曲を聴いて、いいものに丸印をつけていき、最終的に1曲を決めます。
なかなか決まらないときは1000曲くらい聴く。P.72
私たちは、それくらい「量」を出してから「質」を求めることをしているでしょうか。
「良いアイデアが浮かばない」などと言う前に、質を無視してでもまずは量を出す必要があるのです。
実は、量を出してから選ぶほうが、はじめから良いものを生み出すより簡単だったりします。
ちなみに私は、ブログ記事のタイトルを必ず10個以上並べてから、1つを選ぶことにしています(それでも少ないですが)。
3. 雑談の中にこそ、企画のヒントがある
とんねるずの「食わず嫌い王決定戦」の企画は、秋元さんと石橋さんらが食事しているときの嫌いな食べ物の話から生まれたのだとか。田原 テレビの話に戻りますが、秋元さんはテレビの打ち合わせを、必ず雑談から始めると。秋元さんに「こういうことをやってほしいんです」と一刻も早く伝えたい相手は、イライラしてくるそうだけど、なんで雑談なんですか?
秋元 雑談の中にこそ企画のヒントがあるからです。会議室のホワイトボードの前で何か決めましょうって言っているときは、皿に合わせようとして必ず予定調和になっていく。P.73
TVの企画でなくても、こういうことは意外とあるものです。
マジメな会議の前に雑談することは、頭を柔らかくすることに役立ちます。
4. いちばんつまらないのは予定調和
エンターテイメントでいちばんつまらないのは予定調和。それがないからAKBはおもしろいんだ
P.107
AKB周りにはサプライズが次々起こりますね。(ライブ中のMCについて)彼女たちが話す内容には一切タッチしていません。(中略)
今までのアーティストには全部、かなり詳細な台本を書いていたんです。でも、やっぱりAKB48 は違うと思った。生のまま素のままを見せていくプロジェクト、一種のドキュメンタリーだから、台本は一切やめようと思ったんです。P.104
それが多くの人の注目を集めるし、ファンをワクワクさせるのでしょう。
身近なことでも、たとえば部下や後輩、子どもを教育するときの伝え方一つでも、予定調和を裏切ると心に響きます。
5. なにが起こるかわからないことを楽しむ
これは先の4にもつながるわけですね。田原 そんな前田がいなくなって、AKBのエースがやめちゃって大丈夫なの?
秋元 そう聞かれれば、逆に「前田の位置に誰が来るのか。おもしろいじゃないか」と。(中略)
僕がわくわくするのは、中心にいたエースの前田敦子がやめて、そんな復元力がAKB48でも成立するかということです。「もう前田はいないんだよ」とうシチュエーションが、次に何を生み出すか。それが楽しみなんです。P.149
「なにが起こるかわからない」というのは、仕掛ける側にとっては不安もありそうですが、見る側にとってはワクワクしますね。
想像できない未来を、仕掛ける側すらワクワクできる、その器の大きさがリーダーには必要だし、それがAKBをつくっているのでしょうね。
6. 人生はデッサン
やってみてから修正していく。これは非常に重要な考え方ですね。「人生って、きっとデッサンなんだ」ということです。人物像でもなんでもいいけど、デッサンをするとき0.何ミリの極細ボールペンを使って、たった1本の線で正確に輪郭を描ける人なんか、いないじゃないですか。
僕 は、軟らかい鉛筆を使って何本もの輪郭を描いて、だんだん形を作っていく。これがAKB48だ、と僕は思っています。だいたいの線を何本も何本も重ねてい くから、ちょっと違う方向に行く線もある。だからスキャンダルは出てくるわ、何が出てくるわ、と、面倒なことがいつでもあるんですよ。
(中略)
多くの人は一発で決めようと思うから、すごく肩に力が入ってしまう。この線が曲がっちゃったらどうしようとか、はみ出したらどうしようと思うわけです。P.213
やってみないとわからないことは、思いのほか多いのです。
7. 企画は日常にある
こういう考えをできる人はなかなかいないかもしれません。どんな仕事でも企画は存在すると思うんです。OLの方のお茶くみでも、単純にお茶を淹れるだけだったら、そこに企画は成立しないじゃないですか。でも、賢 い人、伸びる人、違うステージに進もうという人は、たとえばその部なり課なりで、あの人は胃が弱い、この人はいつも疲れているようだと観察し、それぞれに 合わせてお茶の種類を変える。これも立派な企画だと思います。この人にはプーアル茶を出そうとか、眠そうな人には濃いお茶を出そうとか、もちろん好みも聞 いたうえでね。
P.80
だからこそ、できると周りと差がつきますね。
秋元さんはある日、夜中に突然ケータイのバイブの音がなったとき、「怖いな」っと思ったそうです。
その後、映画の企画のネタはないかという話になったときにそれを思い出すことになります。
それがあの映画『着信アリ』です。

こんなふうに、自分のまわりに「企画」のネタがあふれていると思うと、楽しい気持ちになりますね。
まとめ

本『AKB48の戦略! 秋元康の仕事術 (田原総一朗責任編集) 』、この二人が並んでいると強力ですね(好き嫌いはありそうですが、笑)。
秋元康さんが好きで、著書を何冊か読んだり、ネットやTVで色々みている私にとっては、聞いたことのある話題が多くありました。
ただ逆にいえば、「秋元語録」がこの一冊にまとまっている、お得な本とも言えます。
内容そのものはもちろんですが、秋元さんの「説明力」、「言葉の使い方」も非常に興味深いです。
「こんなふうに説明されたらわかいりゃすいな、納得してしまうな」という、うまさがあります。
AKB 総監督・高橋みなみの特別対談も収録されています。田原さんが彼女に「政治家になれ」と言うなど衝撃の内容です(笑)。
ぜひチェックしてみてください。
次はどのレビューを読みますか?




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今日のひとこと
週末、たこ焼きに納豆入れたら残念な味でした。
— コウスケ@Ko's Styleさん (@kosstyle) 2013年2月18日
- [2013/02/18 20:30]
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