【対談】山中氏&益川氏が語る!ノーベル賞クラスの大発見を生み出す考え方 〜本『「大発見」の思考法』

iPS細胞で全世界の注目を集める山中氏がノーベル賞受賞後におっしゃった言葉、しびれますね。ノーベル賞は過去のこと。メダルは大切にしまい、もう見ることもないと思う。
彼のノーベル賞受賞は、2012年の大ニュースの一つでした。
本『「大発見」の思考法』は、その山中氏とノーベル賞物理学者 益川氏との対談本。
お二人から飛び出す言葉、とても刺激的です。
今日は本書から、特に印象的な6つの話を紹介します。
1. 名前が大事
これは意外。おもしろいですね。山中 (中略)inducedは直訳すると「誘導された」ですが、人工的に作ったことを表しています。Pluripotentは「多能性」で、いろんな細胞に変わり得ることを意味しています。Stem cellは「幹細胞」です。
益川 その頭文字をとってiPS。でも、どうして「i」だけ小文字にされたのですか?
山中 実はですね、若者に人気の「iMac」や「iPod」にあやかろう、と(笑)。そういう気持ちが多少あったのは事実です。
(中略)
益川 ネーミングに関して、ずいぶんと考えていらっしゃる。
山中 はい、名前はとても大事ですね。これまでになかった新しい多能性幹細胞ですから、覚えやすく印象に残る名前にしないとだめだと思いました。P.14
私たちも積極的にものごとに名前をつけると良いでしょう。
モノはもちろん、メソッドや教訓、目標などにも。
認知されやすく、広めやすくなります。
そういえば先日、こんな話を紹介しました。
2. ロマンはじっとしててもやってこない
「あれやってみたいな」「おもしろそうだな」「行きたいな」益川 だって、憧れを見つけなければ何も始まらないもの。憧れがたくさんあるからフラフラするわけでしょう。そして憧れを見つけたら、ドン・キホーテのように一歩を踏み出すことが大事。じっとしていてもロマンは絶対にやってこない。迷ったり、壁にぶつかったりしながらも、実際に動き出してしまえば憧れはロマンに変わる。僕はそう信じているんです。
P.73
せっかくそんなことを思ったのに、そのまま放置して忘れてしまう。
そんなこと、ありませんか?
益川氏の言葉、背中を押してくれる言葉ですね。
ちなみにこの本も、とてもやる気が湧いてくる言葉がたくさんあります。
3. 一見無駄なことが大事
無駄なことってないんだな、と思える体験、私にもあります。益川 でも、そのフラフラの結果、山中先生は、iPS細胞と運命的な出会いをしたわけだ。偶然から始めたことが、「ああ、俺はこのテーマに出合う運命だったのかもしれない」と、必然のように思える時が、人間にはあるんですよ。偶然の出会いを運命に変えられるかどうか、それは本人次第。
山中 はたから見たら、僕の人生は、遠回りで非効率に見えるかもしれませんし、無駄なことばかりやっているように思えるかもしれません。もっと合理的な生き方が出来たんじゃないの?と思われるかもしれませんが、そうやって回り道したからこそ今の自分があるんじゃないかと思います。
益川 そう、一見無駄なことが大事なんですね。P.78
また、そう思うことで、そうなる気もします。
Steve Jobsのコネクティング・ザ・ドッツの話を思い出しますね。
この本にも、近いことが書かれていますよ。
4. 面白がる
山中 科学者にとって感受性は本当に大切だと思いますね。自分のやった実験の結果を見て、「うわ、すごい!」って面白がれる人じゃないと、研究を続けていくのは、難しいと思うんです。
P.90
山中氏は医学部時代、最初に犬を使った血圧の調整に関する研究をしたそうです。指導教官が仮説を立て、そのとおりになるか実験することになりました。
山中氏が興奮したことだけでなく、指導教官の三浦先生が一緒になって興奮してくれたのがポイントですね。山中 ところが予測もしないことが起こったんです。(中略)全く予測もしない結果でした。
それを見た私は大興奮して、煙草を吸ってはった三浦先生に、「先生!先生!何かすごいことが起こりました!面白いことが起こりました、見てください!」と息せき切って報告しました。そしたら三浦先生が、「すごいな、すごいな」って、一緒になって興奮してくれたんです。
益川 その先生は、「血圧は下がらないはず」というご自分の仮説が外れたにもかかわらず、山中先生と一緒になって興奮してくれたんですね。
山中 そうなんです。後から考えると、本当にささやかな実験だったんですが、あの時の興奮は今でも忘れられません。もしも、あの実験で予想通りの結果だったり、何も起こらなかったりしたら、私は今ほど研究の虜になっていなかったかもしれません。P.92
「面白がる」ことも大切ですが、「面白がらせる」「面白がっているのを邪魔しない」のも大事ですね。
先日紹介したこの本にも、「面白がる」ことの大切さが書かれています。
5. 若手の邪魔をしない
トップダウンの組織では、トップのアイデア以上のものは生まれません。山中 (中略)私が常に心がけているのは、いかに若い人達のアイデアの邪魔をしないか、ということです。若い人達が出してきたアイデアに対して、「そんなの面白くないよ」とか、「本当にできるの?」とか言ってしまったら、そこでおしまいですから。
益川 僕の恩師の坂田先生と、よく似た考え方ですね。若い人達が、自分で出したアイデアを、自分で実現できる環境をつくることは、我々先輩の責務でもある。
山中 そう思います。たぶんiPS細胞には、我々が思いもよらないような使い方やアプローチの仕方が、まだまだたくさんあるはずです。そういうアイデアは、研究費がたくさんあれば出てくるというものではありません。私は、若い人の斬新なアイデアに期待しています。P.126
メンバーを尊重し、活かすことができるリーダーこそ、大きな結果を出すことができるのではないでしょうか。
6. プレゼン力と発信力が重要
こういうことはあまり知りませんでした。研究だけ出来れば良いというものでもないのですね。益川 山中先生は常々、「有力科学誌のエディター達とファーストネームで呼び合えるくらいの信頼関係を築いておかないと、情報戦には勝てない」とおっしゃっているそうですね。
山中 はい。それはとても重要なことだと思っています。
科学者が成功するためには、良い実験をすることだけでなく、いかにしてその実験データをきちんと伝えるかという「プレゼンテーション力」にかかっている、というのが私の持論です。自分の持っているデータや研究成果を、いかにして発信するかということが大切なのです。P.132
私たちも同じかもしれません。
社内でも、いくらまじめに仕事をしていてもアピールできていなければ上へ上がれないかもしれない。
会社も、いくら良い商品・サービスをつくっていても、プレゼン力・発信力がなければ売ることはできない。
良い物をつくれば売れる、という時代ではありませんよね。
最近読んだこの本、分かりやすくて良いですよ。

まとめ

旬ということもありますが、とても面白い本です。
お二人の世代は違いますが、互いの話がうまく引き出され、また意見はしっかり述べられている。そんな印象です。
益川氏の印象が変わりました(笑)。
子供時代や留学中のこと、苦境、読書や趣味など話題は多岐にわたり、飽きない内容です。
自分にはもちろん、部下の教育や子育てにも影響があるかもしれません。
次はどのレビューを読みますか?




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今日のひとこと
先日、伊勢神宮へ行くとき、iPhoneのGoogleマップアプリにだまされました。音声指示通りに高速を降りると、池の周りを一周。また下りた場所から高速に乗れと(笑)。
あとで地図を縮小するとこんな感じ。これぞまさに、「回り道」。
あの池に一体なにが。。。

- [2013/01/17 12:00]
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