これは真似したい!国をも動かす「スピーチ」に隠された秘密 〜本『独裁者の最強スピーチ術』

たしかに、詳しい政策を知らずに橋下市長を支持している人も多いでしょう。大阪市民が選んだのは、橋下の(政策ではなく)「言葉」であり「情熱」であり「ストーリー」だ。
橋下は巧みな演説やスピーチで、聴衆の心をつかんだのだ。P.8
それほど、演説やスピーチが重要というわけです。
本『独裁者の最強スピーチ術』は橋本氏が独裁者だと言っているわけではないですが、ヒトラーと橋本氏の演説を分析、人の心を動かす秘密がまとめられています。
あのヒトラーですら、鏡の前で話すときの身振りを研究したり、スピーチ後に反省会をしたといいます。
私たちも本書で学び、練習してスピーチ力を磨いたほうがよさそうです。
今日は本書から、ストーリーの黄金率をはじめ、国をも動かすスピーチに隠された秘密を紹介します。
1. ストーリーの黄金率
ヒトラーや橋下大阪市長、また他にも人の心を動かす多くのスピーチにはこれが当てはまるといいます。
- 何かが欠落した、もしくは欠落させられた主人公が、
- なんとしてもやりとげようとする遠く険しい目標、ゴールをめざして
- 数多くの障害・葛藤・敵対するものに立ち向かっていく。
この3つの要素がスピーチに含まれていると、人は感情移入しやすく、心を動かされやすく、行動に駆り立てられやすくなる。
P.58
1で完璧でない主人公に共感、応援したくなり、2でその姿を魅力的に感じ、3で感情移入するわけですね。
これは仕事のプロジェクトのキックオフの際などにも使えるのではないでしょうか。
メンバーの気持ちをグッと盛り上げられそうです。
2. 敵を作る
ストーリーの黄金率の3のために、敵を作る必要があります。
橋下大阪市長も、こんなスピーチで敵を作り、演出しました。ヒトラーの演説で欠かせないのは、攻撃する敵の存在だ。
(中略)
敵は、共和国政府であったり、共産主義であったり、ユダヤ人であったりした。P.72
「天下の公党」という言い方で、あえて敵の存在を巨大化、強調しています。全国で天下の公党と真正面から争えるような地方の政治グループはこの大阪の地、大阪維新の会だけなんです。我々の力の源泉は大阪府民の皆さんの一票。皆さんが天下の公党と争えるだけの力を与えてくれた。
P.180
3. サウンドバイトを活用する
講演やプレゼンなどする場合、このようなキラーフレーズを用意しておくと良いですね。サウンドバイトとは、文字通り音でかみつくような「歯切れのいい短い言葉」という意味。刺激的で誰もが復唱できるような単純なフレーズを繰り返すことにより、人の心を突き刺し、心を動かす手法である。
このような印象的なフレーズがあると、人間の記憶にしっかり残るのだ。
またメディア等でも、この部分が取り上げられやすくなる。P.169
記憶に残るフレーズ。思わずメモしたくなるようなフレーズ。そのままツイッターやブログへ引用したくなるフレーズです。
ヒトラーは、民衆や大衆のことを見下して、こう言っていたといいます。
大衆の受容能力は非常に限られており、理解力は小さいが、そのかわりに忘却力は大きい。この事実から全て効果的な宣伝は、重点をうんと制限して、そしてこれ をスローガンのように利用し、そのことばによって、目的としたものが最後の一人にまで思いうかべることができるように継続的に行わなければならない。
P.52
また講演やプレゼンに限らず、部下や後輩などに仕事を伝えるときも同様に考えることができるでしょう。
くどいくらい繰り返すことが大事だと、以前この本から紹介しました。

一度言えばそれで伝わっている、と考えるのは、伝える側が傲慢かもしれません。
4. 歴史的大事業だと思わせる
こう言われると、なんだかすごいことのように思えて(実際すごいと思いますが)、聞く側も気分が盛り上がりますね。橋下は、演説やスピーチの中で、自分たちが掲げている政策を歴史的大事業だと思わせるのがうまい
(中略)
「歴史をひもとけば、市民革命もパリというひとつの地方から、アメリカの独立戦争もひとつの地方から、辛亥革命もひとつの地方から、明治維新もひとつの地方から、大きな改革が始まったんです。
大阪府民の皆さん。まさに今この時、この大阪の地から、日本全体の仕組みを変える大きな動きをつくりだす時がやってきたんです」P.239
5. 「一緒に」を強調して巻き込む
橋下氏の演説です。
皆さん、わが大阪を変えるのは、国会議員でもなく国の役人でもない、我々の大阪を変えるのは大阪府民の皆さん自身なんです。
どうか皆さん、僕は大阪府民の皆さんと、大阪府民の皆さんと一緒に夢をみたい。夢に向かって歩みたい。P.182
魅力的なストーリーを語られたあとで、「一緒に」と参加を持ちかけられたら、自分もストーリーの一員になりたい、参加したいと思うでしょう。
「一票入れてください」ではなく、「歴史的ストーリーに参加しよう!」と相手には伝わるわけです。
これは仕事を指示する際にも気をつけたいところです。
単体の作業について「やっておいて」と頼むのではなく、「一緒に」取り組んでいる1つのプロジェクトの中の1つの仕事なのだ、と意識させると、相手のモチベーションが変わってきますね。
6. 二者択一を迫る
似た考えかたを以前、「対比の法則」として紹介しました。聴衆に二者択一を迫ることもヒトラーの演説に特徴的なことのひとつだ。
「ドイツが共産党に支配されるのがいいのか?我々を支持するのか?」
「ユダヤ人に支配されるがままか?それとも皆殺しにするのか?」
「戦争か?平和か?選ぶのは議員職んだ」
「世界制覇か?それとも滅亡か?」
理性をもって考えれば、あまりにも極端な二者択一だ。しかし人間はふたつにひとつを選べと言われると、無条件にどちらかを選んでしまいがちなのである。本当は「どちらも選ばない」もしくは「中間を選ぶ」という選択肢があるにもかかわらず。P.93

まとめ
ヒトラーはスピーチの力によって、反逆罪としては異例の9ヶ月で釈放されたり、多くの寄付を集めたり、また「民主的に」独裁者となりました。
スピーチにはそれだけの力があるのです。
『現代社会における社会的弱者とは、「コミュニケーション弱者」に他ならない。』と言う人もいるくらいで、「話す力」というのはとても大切ですね。
もしあなたにスピーチの力がないなら、これまでずいぶん損をしてきたかもしれません。
思いが伝わらない、頑張っても認められない、そういうこともあったでしょう。
しかし、自分の夢や目標を実現したり、充実した人生を送りたいと思いませんか?
本『独裁者の最強スピーチ術』から学び、実践し、修正する。これを繰り返していくことで、それが実現する日が近づくでしょう。
あなたは今のままで良いですか?
それとも、スピーチ力を磨きますか?

なお橋下氏について、心理学の面からアプローチしたこの本も面白いですよ。比べてみると良いかもしれません。

ちなみに本『独裁者の最強スピーチ術』は、いつもお世話になっている愛知の文具王フミヒロさんに教えていただきました。
更新頻度も多く、とてもおもしろいブログなので、ぜひチェックしてみてください。
次はどのレビューを読みますか?




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