【交渉本その2】『武器としての交渉思考』を身につけよう!そのポイントとは?

あなたにいくら才能があっても、いくら仕事ができても、いくらマジメでも、より大きなことを実現するには他人との協力が必要です。
これは仕事以外でも、結婚生活なども同様でしょう。
そして他人と協力し、大きな事を成し遂げるためには、「交渉」が必要になってきます。
本『武器としての交渉思考』は、京都大学での「交渉の授業」を一冊に凝縮したもの。
学生でも理解できるほど分かりやすく、そして実際に使える「交渉術」が書かれています。
あなたも「交渉」という思考法をマスターし、仕事やプライベートで大きな目的を実現しませんか?
今日は前回に続き交渉本シリーズ第二弾として本書から、交渉思考の4つのポイントを紹介します。
1. 交渉は、双方のバトナによって決まる
本書が交渉において一番重要としているのが、「BATNA」です。
以前、自動車を購入するとき、この「バトナ」が非常に役立ちました。
- 交渉では、まずは複数の選択肢を持つこと
- そして、目の前の選択肢とバトナ(他の選択肢のなかでいちばん良いもの)とを比較しながら、交渉を行なっていく
P.142
本命のA店へ行く前に、競合のB店で見積りを出してもらいました。
ところが、これが想像以上に安かった。
おかげでA店では「B店はこんなに安かった」と強気で交渉できたのです。
結局A店はB店ほど安くできず、B店で購入することにしたのですが、もし事前にB店で他の選択肢(バトナ)を得ていなければ、おそらくA店の悪い条件で購入してしまったでしょう。
その差額、20万円以上です。
また、相手のバトナを見極めることも重要。
私が購入を決めたB店が安くできた理由は、決算時期だったから。
- 交渉が決裂したときに相手がどうなるかを考える
- 相手側のバトナを見極めるために「たくさん聞いて、たくさん提案する」
P.154
多少無理をしてでも、なんとか売上を上げたいという思いがB店にはあったのです。相手(B店)は交渉が決裂しては困るのです。
こうなると、多少こちらが無理を言っても聞いてくれますね。
一方でA店は、決算時期ではありませんでした。
また対応してくれた店員さんが若かったこともあり、無理してでも契約するという考えはない様子。交渉決裂ならしかたない、という雰囲気でした。
2. 交渉はスタート時の「アンカリング」で決まる
交渉スタート時の基準点のアンカリング次第で、交渉の結果が大きく変わります。
たとえば100万円の値札のついた車は、店側が100万円とアンカリングしています。アンカリングの考え方
- 最初に相手をアンカリングして、優位に交渉を進める
- 相手から提案を受けたときは、それがアンカリングではないかと疑う
P.194
交渉は100万円スタート、そこから値引き交渉となりますが、これでは店側が有利。
実際には90万円で売ってもいいつもりかもしれないからです。
客側がはじめに「予算80万円。それ以上出せない」と宣言(アンカリング)してしまうとどうでしょう。
80万円を基準として交渉をスタートできます。
80万円が無理なら83万円はどうだろう、などと徐々に上げていけます。予算80万円なのに、相手の要求を飲んで無理して3万円余分に出すのだから、それで決めて欲しいと、客側が優位に交渉を進められるのです。
3. 基本は「相手の利害」に焦点を当てること
先の例で言うと、B店との交渉時、相手の話をよく聞くことで「実は今ちょうど決算の時期なんですよ〜」という言葉を引き出せました。「相手の立場を理解する」「自分が話すよりも、相手の言い分を聞く」「必ずしもパイの奪い合いではない」「自分の取り分が多ければいいというものでもない」ということが、交渉の何よりの基本となります。
交渉においてとにかくいちばん大事なのは、「相手の利害に焦点を当てる」ということです。
自分の立場と相手の立場がぶつかっているときに、「私の立場もわかってください!」とお願いしても意味がないことは、ここまでに述べたとおりです。
そうではなくて、単純に相手側の利害関係を理解する。お金が欲しいのか、それともそれ以外のメリットが欲しいのか。それを満たすのと同時に、自分も得をする道を考えればいいのです。P.130
つまりB店は、とにかくお金よりも契約数が欲しいのだと気づいたのです。
これで一気に強気で交渉に臨むことができます。
利害をまとめるとこうなります。
利 | 害 | |
B店 | 契約数増 | 契約を取れないこと |
私 | 安く車を購入すること | 高いお金を払うこと |
互いの利害がズレていることがわかります。
これが次の4のにつながります。
4. 相手のとって価値が高いが自分にとって価値が低いものを譲歩
今回の自動車購入の例でいえば、
- 無条件の譲歩は絶対にしない。
- 「相手のとっては価値が高いが、自分にとっては価値が低い」ものを譲歩する。
P.236
と、お互いに譲歩しつつ、納得のいく契約ができました。私 「あなたの条件を飲み、B店で契約します。そのかわり、安くしてね」
B店「あなたの条件を飲み、他店より安くします。そのかわり、うちで契約してね」
相手にとっての利害に焦点を当て、自分にとってそれほど困らない条件を譲歩することで、両者にとって最良の道を見つけることができたわけです。
まとめ

実際の本『武器としての交渉思考』では、もっと大きなことを実現するために、交渉によって仲間をつくることを想定しています。
ただ、まず身近な価格交渉などで「交渉思考」を身につけておくことで、ビジネスなどでもその成果を発揮できるのではないでしょうか。
ここでは紹介しなかった内容も非常に重要で、また分かりやすく書かれているので、一読することをオススメします。
また、同じ著者の以下の二冊、そして他の交渉本シリーズの記事もぜひ一読を。


次はどのレビューを読みますか?




関連リンク
- 悪用厳禁!心理学で人を動かす7つの秘法
- 相手を納得させる話し方の7つの秘密 ~『なぜあの人の話に納得してしまうのか』中谷彰宏 著
- 可能性の無視は、最大の悪策 〜本『ローマ法王に米を食べさせた男 過疎の村を救ったスーパー公務員は何をしたか?』
- これであなたも好かれる!「聞き上手」になるための5つのポイント
- これは気をつけたい!あなたの価値を下げる話し方 ~本『その話し方では軽すぎます!』
今日のひとこと
最近すごくそばを食べたいのですが、大晦日まで我慢してます。
- [2012/12/27 07:00]
- オススメの本 |
- トラックバック(1) |
- コメント(0) |
- この記事のURL |
- TOP ▲
- | HOME |