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変化の時代だからこそ知っておきたい!日本人はなぜ失敗するのか?  はてなブックマーク - 変化の時代だからこそ知っておきたい!日本人はなぜ失敗するのか?

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日本人は今こそ、過去の失敗から学ばなければならない。


本『「超」入門 失敗の本質 日本軍と現代日本に共通する23の組織的ジレンマ 』は、日本が約70年前に経験した大東亜戦争の、日本軍の組織論を分析した名著『失敗の本質―日本軍の組織論的研究 』のダイジェスト版のような本。

仕事に役立てられるようにまとめられています

なぜダイジェスト版が必要かというと、元の『失敗の本質―日本軍の組織論的研究 』は完全に理解するには難しい本だからです。

実際『「超」入門 失敗の本質』のほうはポイントが絞られていたり、前提となる戦争についての解説があったり、ときどき図解やまとめがあるなど、とても読みやすく書かれています。


今日は本『「超」入門 失敗の本質 日本軍と現代日本に共通する23の組織的ジレンマ 』から、なぜ日本人は失敗してしまうのか?を考えてみます。




1. 目標・戦略があいまい

「戦略の曖昧さ」は極めて大きな疑問です。
さらに、日本軍がどのような戦略を持っていたかは説明が難しく、七〇年以上を経過した現時点でも、日本軍がどうして「そのような方向」へ向かって行動したのか、わからないことも多々あります。

P.36
とはいえ、一時的にはその曖昧な戦略で多くの地域を占領していたはず。

どういうことなのでしょうか。

米軍を抑止する効果のない一七もの島に上陸占拠した日本軍は、目標達成に繋がらない勝利を集めており、大局的な戦略を持っていなかったと判断できるのです。米軍に対して抑止効果のある八島だけに基地を集中したなら、兵員は三倍に増強できたはずでした。

P.40

米軍   「目標達成につながる勝利」が多かった
日本軍  「目標達成につながる勝利」が少なかった

P.38 
つまり、日本軍の努力は無意味だった、ということになります。

これはなんとも悲しい現実です。

戦略とは、いかに「目標達成につながる勝利」を選ぶかを考えること。日本人は戦略と戦術を混同しやすいが、戦術で勝利しても、最終的な勝利には結びつかない。

P.43
こうしたことは自分や、自分の組織でも起こりうるのではないでしょうか。

たとえば、ToodledoEvernoteNozbeの機能は何でも知ってる!使いこなしてるぜ!と言っても、それらのツールを使って何を実現するかが、本来の目的のはず。

単に機能に詳しかったりするのは無意味な勝利かもしれません(それを使いこなすこと自体が目的な特殊な人は良いのですが)。



2. ルールをつくるより、既存ルールに習熟してしまう

「大きなブレイク・スルーを生み出すことよりも、一つのアイデアの洗練に適している。製品ライフサイクルの成長後期以後で日本企業が強みを発揮するのは、 このためである。家電製品、自動車、半導体などの分野における日本企業の強さはこれに由来する」(『失敗の本質』/3章より)

日本の戦後経済の発展は「モノづくりの文化」が支えたといわれますが、改善を続けることで生まれる洗練は、日本人が民族的文化として持つ美点の一つです。

P.73
ケータイが良い例ですね。

ケータイ自体はもともと日本の会社が発明したものではありませんが、どんどん小型化・機能追加をして日本独自の進化を遂げました。

しかしそこへiPhoneが登場、ルールが変わってしまったのです。

どんなに良いケータイをつくったところで、スマートフォン普及の流れに勝てません。

いまでは日本企業もiPhoneに似せたスマートフォンをつくり、iPhoneより良い機能を付けようと必死になっているように見えます。

「ケータイ」でも「スマホ」でもない、新たな通信機器を作ろう!というメーカーは日本にあるのでしょうか。


難しいことではありますが、ルールを変える、大きく劇的な変化を生み出すことが時には必要です。

そういう、イノベーションを起こすためにどんなステップを踏めばよいかは、実際に本書を読んでみてください。



3. 現場のフィードバックを活かせない

日本軍の上層部の特徴

  • 現場を押さえつける「権威主義」
  • 現場の専門家の意見を聞かない「傲慢さ」
P.157
日米航空戦の成否を決定づけた一つの要因として、「高性能なレーダー」の開発があったそうです。

日本のほうがレーダーの研究が進んでいたにもかかわらず、日本軍部・軍人は科学者の研究を信用せず、レーダーを取り付けませんでした。

一方、米軍は違いました。

「研究は科学者のほうが熟知している」ことを認めたことで、将校と研究所スタッフの情報交換が非常に活発に行われ、スタッフの自主性を引き出すことにも成功したのです。
米軍は、現場に優秀な人材を発見した場合、彼らの自主性・独自性を最大限活用し、最高の成果を生み出せるように導いていました。

P.156
日本軍のようなことが、わたしたちの職場などでも起きていないでしょうか。



4. 成功法則を虎の巻にしてしまう

 日本軍が選挙区の転換で大混乱に陥り、正しい戦略策定をほとんどすることなく、やみくもに「同じ行動」を繰り返して敗北する様子は「本質を失った」型の伝承を想起させます。
 本来戦場の中で新たに発生する戦略(新指標)や、敵軍側の構成に内在する指標としての戦略を見抜き、検討する能力がなければ変化を乗り越えることは不可能です。
 その上、勝利の本質を教育するのではなく、「型の伝承」のみを十数年にわたり教育した集団では、過去の方法が通用しないだけで大混乱に陥っても何の不思議もありません。

P.136
どうしても過去の成功法則を信じ、同じことをすればまた成功できると思ってしまいがちです。

デートマニュアルに書いてあったとおりに女性を口説いてもうまくいくとは限らないのと同様に(笑)、実際のその場の状況を判断し、新しい戦略を見つける必要があるのです。


ふと思ったのは、本書自体は成功法則とは真逆の「失敗法則」であるということ。

「失敗法則」=こうすれば失敗する、については不変なのでしょうか。

個人的には、成功法則よりは信じて良い気がしています。



まとめ

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ここでは軽く紹介することしか出来ませんでしたが、多くの学びがある本です。

いくつもの事例や考察と合わせたほうが理解も深まるので、この記事を読んで興味を持たれた方にはぜひ本書を手にとって読んでみてください。

単に過去の失敗がまとめられているだけではなく、われわれ日本人が陥りがちな「考え方」を知ることができるのは貴重です。


歴史が苦手な私ですが、多くの成功した経営者の方々は歴史から学んでいると聞き、「歴史から学ぶ」ことに興味があります。

本書はその良いキッカケとなりました。

手元に残し、時々読み返したい本となりそうです。

 


次はどれを読みますか?

「新しい働き方」ができる人の時代秋元康の仕事学 ( ) イシューからはじめよ―知的生産の「シンプルな本質」4408109193



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今日の名言

「無関心は無知を増大させ、無知は罪を誘引します」 本『イノセント・ゲリラの祝祭 (下)』 http://t.co/wEUX5bzw #meigenThu Mar 22 03:47:55 via bitly



コメント

このコラムの内容を見ると、最近のソニーやシャープの凋落ぶりの原因がわかる気がします。
例えば、ソニーの場合PS3では初めにブルーレイありきで、まだ普及もしていないブルーレイをPS3に搭載することにこだわりました。
また、各電機メーカーは、一昨年以降やみくもにテレビの大型化と3D化に明け暮れましたが、その挙句のテレビ離れと値崩れで青息吐息のあり様。
これは、高機能のテレビを作るという戦術だけで、その後どうなっていくのかという戦略が欠落したからなのでしょう。
同じことは、ニンテンドー3DSにも言えるわけですが。
いずれにしても、良い本の紹介ありがとうございました。
いずれアマゾンなどで購入しようと思います。

上のコメントを書いたあとで、ふと思ったのですが、戦略と戦術の関係は結局OSとアプリの関係とイコールではないかと思います。
つまり、パソコンであれスマホであれどんなに優秀なアプリが搭載されていても、パソコンやスマホ本体を動かすOSにバグやエラーが存在していたら、使い物になりません。
それと同じで、日本人は近代以降(具体的には明治以降)人として生きるためのOSに当たる何かをないがしろにして、アプリだけを求めることに、汲々としてきたのではないでしょうか。
その挙句の、敗戦であり、大手企業の大苦戦である気がします。

んー

否定的な意見がなさそうなので書いておきます、まだ読んではいないのでおかしな点はあるとおもいますが。

皆は本や考察を絶賛してるけど、そもそも日本の戦争(主に軍の事)と現代の社会を一緒にして考えるのは
根本的に違うのではないだろうか?
軍は個性を持っては基本的にダメな組織なのを(特に日本軍は)分っているだろうか・・、嫌な言い方をすれば反抗してはダメという事だ。
そんな組織と今の会社(組合や国の保護などがある)とを比較しても当てはまるが無理やりだと思うし、
戦争や敗戦などは良い宣伝になるからよく使われるが、そのせいできちんと歴史として振り返れなくなるのは悲しい事だと思う。
失敗から学ぶのであれば、同じベクトルで話を進めなければ本当の正解は導けないと思う。

駄文失礼しました。

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